第5回【身近なところにDXC】 日本初、いや、世界初かも?ASAM CERP準拠の市販ツールDXC HMS-Vを開発したDXCテクノロジー・ジャパン

今回の【身近なところにDXC】シリーズ、みなさんの身近な車の話ではありますが、少々視点を変えて、DXCテクノロジーの「新たな」取り組みをご紹介したいと思います。

始まりは2019年6月某日

「これまで調べたところでは、この標準に準拠する市販ツールは見当たりません。我こそは、というベンダーさんがいらっしゃれば、是非手を上げて開発して頂きたいです。」-ASAM(Association for Standardization of Automation and Measuring Systems /自動化システムと測定システムの国際標準化団体)の日本リージョナルミーティングにおいて、数百人いる参加者の前で、CERP(Calibration Expert System Rule and Product Format)標準の調査ワーキンググループリーダーが、切なる声でおっしゃいました。この分野でのアプリケーション開発経験のあったDXCテクノロジー・ジャパンはすぐに検討を開始し、約一年半かけて2020年12月にベータ版、2021年初頭に正式版のASAM CERP準拠ツール DXC HMS-Vをリリースしました。

 

ASAM CERPとは?

近年、自動車一台に搭載される、自動車の電子制御を担う電子制御ユニットECU(Electronic Control Unit)の数は100個以上と言われています。ECUの制御プログラムとデータ「HEXファイル」の開発において、多くの定数を決める業務を適合(Calibration)といいます。大規模・複雑となる自動車制御システムを開発するには、膨大な数のパラメータ(定数)を実験によって決めていかなければなりません。(「第 2 回【身近なところにDXC】クルマの安全と快適性を支える “制御”の仕組みがピンチ!?」も合わせてご覧ください。)

実は、一台のエンジン制御に必要なECUに設定する定数の数は、なんと200,000個以上も(!)あると言われています。加えて、仕向け地や環境規制、オプション違いの派生車種も考えると、とてつもない数の定数を設定しなければなりません。実験を繰り返し、定数を決める適合業務は、自動車開発の現場にとって大変な負荷で、担当するエンジニアからは悲鳴も聞こえています。

市販後に重大な影響がないよう、これまで各完成車メーカは、独自のチェックリストやツールでHEXの定数値を検証してきました。しかし、一貫性のある書式ではないため、広く社内で再利用することができませんでした。また、業界共通の仕組みではないため、デバイスのサプライヤーなど社外と共有することもできませんでした。

そこで注目されているのが、検証ルールの標準フォーマットであるASAM CERPです。CERPは、Calibration Expert System Rule and Product Formatの略です。直訳すれば「適合業務用エキスパートシステムのルールと製品の書式」と言ったところでしょうか。

 

CERP標準の見直しをめぐる「ニワトリとタマゴ」

CERPに準拠するツールがあれば、複雑な内製ツールを都度開発せずに済みますし、また、サプライヤーとの効率的な連携も見込めるため、多くの完成車メーカが、その実現を期待しています。

一方で、CERP自体には、定数値を検証するのに十分ではない点があったため、日本ではASAM内に調査ワーキンググループが作られ、各完成車メーカからの実態に基づいた標準の修正や拡張が検討されました。

その結果、CERPの修正・拡張については整理できたものの、結局のところ、CERPを実現するツールが存在しないという問題が残りました。どれだけ標準の見直しを進めたところで、それを実現するツールがなければ、机上の空論になってしまいます。標準を直すのが先か、実現するツールを作るのが先か、という「ニワトリとタマゴ」のジレンマにぶつかってしまったのです。

そこでワーキンググループは、調査の結果を踏まえてASAMにCERPの修正・拡張を求めつつ、同時にベンダーへ準拠ツールを開発して欲しい、と伝えたのです。これが、冒頭で触れた会議での出来事でした。

 

ASAM CERPへの標準拠以外にも工夫を施したDXC HMS-V

DXCテクノロジー・ジャパンのメンバーは、この標準ツール開発の声に応え、ASAM CERP準拠のDXC HMS-Vを開発しました。

CERPの書き方は、簡単とは言えません。これは、人間ではなく、システムによる読み書きを想定して制定されたことが一因です。現場の適合業務の担当者としては、もっと簡単にルールを書きたい、というのが本音です。そこでDXC HMS-Vでは、わかりやすい文法でのルールの記載を実現しました。もちろん、CERPに準じた内容をCERP書式で蓄積していくこともできます。また、CERPに記載はないものの、現場には必須となるHEX比較機能なども搭載しました。その他の機能の詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。

これまでのところ日本国内で市販ツールとしてASAM CERPに準拠したツールはありません。(実は世界でも初めてなのでは、との声も頂いています。)

日本の適合業務の担当者の負荷を軽減し、定数決めノウハウの見える化・活用に貢献するDXC HMS-V、是非一度お試しください!!!

 


吉見 隆洋(Takahiro Yoshimi)

DXCテクノロジー・ジャパン CTO。製造業向けサービスならびに情報活用を中心に20年以上IT業界に従事。業務分析の他、各種の講演や教育にも携わる。東京大学大学院 工学系研究科 博士課程修了。博士(工学)、PMP

 

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